ニャヌュパ・ガイモ・ガイモ

ンドペソド・ンゴイ・ンゴイ

リヤン・ド・ファミユ

 長女は4歳に、二女は2歳になった。

 

 

 子供には魔力があるみたいで、大人は誰でも子供の前では良き大人であろうとする。信号を守り、箸を正しく持ち、トイレを出たら手を洗う。子供達が当たり前のことを当たり前に為すことが出来るよう、周りの大人が正しく振る舞おうとすることは素晴らしいことだと思う。

 そして、子供達が寝た後に、夫婦2人で「正しくない振る舞い」をするのも凄く楽しい。大人が寝る前なのに菓子を食べたり、夜ふかしをしたりすることを子供達は知らない。親でいることは楽しいけれど、親の役割を脱ぎ捨てて不道徳に耽ることもまた楽しい。

 無論、そんなメルヘンなことばかりではなくて、大人は喧嘩をするし、不寛容で、理不尽だって言う。歯を磨かなかったり、順番を守らなかったりする。だけど、子供の前に立つと、あたかも道徳的で、教育的であろうとする。それが大人の役割だから。彼女達の親が、彼女達が思っているよりも完璧ではないことに、いつか彼女達も気付くのだろうけど、それがいつになるのかは分からない。私は、私の親が、私の親である以外の姿を知らない。

 

 

 「家族」とはなんなのだろうか。

 ジュンパ・ラヒリの「低地」、「その名にちなんで」を読んだ。彼女の小説を読んで、「家族」とは「暮らし」なのだろうと思った。食事を共にすることは家族の振る舞い足り得るし、一緒に食事をしないことですら、それが規範になってしまえば家族の振る舞いになり得ると思う。

 1つ、私見を加えるならば、私は「家族」とは「役割を演じること」だと思う。親としての役割を演じ、子供としての役割を演じることが家族なのだと思う。友人と酒を飲んでいるとき、職場で仕事をしているときとは明らかに違う自分がそこにいる。妻との共犯関係のもとで、私は親の役割を演じている。

 

 

私は親の子供であることはとうに辞めてしまったけれど、私の子供の親であることは一生辞めないのだろうと思う。私の親が、まだ私の親でいるみたいに。

 

 

低地 (Shinchosha CREST BOOKS)

低地 (Shinchosha CREST BOOKS)

  • 作者:ジュンパ ラヒリ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/08/26
  • メディア: ペーパーバック
 

 

その名にちなんで (新潮クレスト・ブックス)

その名にちなんで (新潮クレスト・ブックス)