ニャヌュパ・ガイモ・ガイモ

ンドペソド・ンゴイ・ンゴイ

SELF CONTROL

 我が家ではシングルベッドを2つくっつけた上に、妻と子と僕と、3人で川の字になって寝る。眠っている娘の横で妻と話をして、ゲラゲラ笑って、いつの間にか眠る。たまに寝たふりをして突然起きて妻を驚かせて、ゲラゲラと笑う。朝起きて、仕事に行って、楽しかったり打ちのめされたりして、また帰って話して笑って眠る。
 大学生時代の友人たちとはだいぶ没交渉になってしまった。一番仲の良かった友人たちとも年に一度か二度、顔を合わせればいい方で、それ以外の人とはもしかしたらもう、一生会わないのかもしれない。当時は彼らと毎日のように遊んでいた。徹夜で麻雀をしてなか卯で牛丼を食い、飲めない酒を飲んでいた。それほど女の子と仲良くはならなかったけど、クネクネ動いて目立つのが好きだったから、顔見知りだけは多かったかもしれない。これが人生で最高に楽しい時間なんだと思っていて、大学院を卒業してそれが終わったときは喪失感があった。
 妻との会話の中身はほとんど子供のことで、寝る前に2人で話をするときもそればかりになる。今日は昼寝をしなかったから電池が切れるように寝た、今日はティッシュを散らかした、今日はリュックを背負って上機嫌だった。手持ちの写真を見せあって、アプリで交換して、また話をして笑って眠る。妻は僕を湯たんぽ代わりにして冷たい足を暖めようとして、寝入り端の僕は機嫌が悪くなる。

 どこかのサイトで、結婚にはメリットがない、という記事を読んだ。確かにそうだなあと思う部分と、そうでもないんじゃないかと思う部分、両方あった。誰にでも通用するような最大公約数の話題だけを挙げてしまえば、誰にでもどちらも当てはまるんじゃないかと思う。飯が美味しければ嬉しいし、子供が泣けば面倒だし、疲れたときに頑張ろうと思えるときもあれば、頑張れなくて喧嘩するときもある。それでも子供が新しい言葉を覚えただけで、悪い部分が全部無くなったりもする。無くならないときもある。
 でも、各個人が思い描く、結婚の良かったところ、悪かったところなんて、真実は家族の中にしかあり得ないし、外からは理解し得ないものばかりなんじゃないかと思う。僕の少ない経験上、コミュニケーションや会話は内輪でしか通じないような物事になればなるほど、面白くなる。家族の会話はそれの究極系みたいなもので、子供の口癖が夫婦間での符丁になるとか、端から見ればなんてことないやり取りが最高に楽しいことだったりするし、その逆もある。どうしたって他人に推し量ることは出来ない。